フロリダ・キーズ
ソルトウォーターのフライ 12月下旬

 とにかく、最初は釣りなどする気はなかったのである。こちらの日本人家族のフロリダ旅行と同様、フロリダ半島の中ほどにある「オーランド」でディズニーワールドとかへ行き、リゾート気分を満喫、のはずであった。

 12月24日の夜に出発し、途中2泊して、オーランドに着いたのは、26日の午後であった。

 ここはディズニーワールドの中のひとつ「マジック・キングダム」。要するに東京DLとあまり変わらない。っていうか、アトラクションの位置関係までそっくりだった。
 ここは、おなじくオーランドの近くにあるケネディ宇宙センター。

 映画の「アポロ13号」が大好きな私としては、展示や映像資料の素晴らしさに非常に感動した。

 このロケットは、世界最大のサターンVロケットの1段目。
 宇宙基地内は自然がよく残されている。写真正面に、イルカの背びれが見える。
 スペースシャトルの発射台。
 こんな風に、最初はおとなしく観光していたのだが、フロリダ半島に入ってからというもの。随所に目に付くクリークや池が釣り心を煽り、しかもちょうど行きやすい場所に巨大なアウトドアショップがあったりして、結局、覗きに行って見ることに。
 これは、「バスプロショップ」という有名なアウトドアショップ。とにかく度肝を抜かれるほど大きい。釣りのコーナーも非常に充実している。

 ここで、長男のクリスマスプレゼントと称して、バス釣りに使えるスピニングのセットと、僕用にソルトウォーター・フライの一式を購入。
 オーランドの後、マイアミに2泊し、その後、フロリダ最南端の「フロリダ・キーズ」と呼ばれる珊瑚の島々へ行く予定だったので、その旨を店員さんに説明し、これからソルトウォーター・フライを本格的に始めるとしたら?という前提で道具を見繕ってもらった。

 #9、9ftが基本だとのこと。メーカーについては、慣れたセージにしようかと思ったが、お店の人がGルーミスを勧めるので、それにした。恥ずかしながらほとんど認識していなかったメーカーなのだが、店員さんにそう話したら目を丸くされた。リールはオービス・バテンキルのミッド・アーバー。・ロッドもリールも、日本の市価の6割くらいらしい。

 ラインは、その名も「ボーン・フィッシュ」というラインで、シューティングヘッドの形式、すなわち、先端に15m強のヘッドが付いて、その後にランニングラインが同じ長さだけ付いている。
 まずは練習を兼ねて、マイアミ近郊のクリークでバス狙い。

 この日はスカに終わる。
 上のクリークは、「エバーグレイド」国立公園のすぐ近く。同公園は、フロリダ半島の最南端にあり、長野県ほどの大きさの手付かずの湿地帯が残っている。

 この場所は、その自然公園のほんの入り口だが、ワニが寝そべっていてびっくり。
 翌日は、マイアミ近郊の浜辺へ。湿地帯にあるマリーナでしばし竿を出す。
 水面を見ていると、水中に沈んでいた丸太がいきなり浮上!?

 なんと、ここはマナティーの生息地なのであった。

 魚はまるで反応なしだが、自然の豊かさにびっくり。
 うちの子供達は、例によって寒風の中、水に入っています。夏じゃありません。12月末です。
 毎回家族5人で外食ではやってられないので、今回の旅行には炊飯器を持参。レトルト食品を一緒に温めれば、一食出来上がりである。
 マイアミの後は、ついにフロリダ・キーズへ。ここは、半島の先っちょから、珊瑚礁の島々が転々と連なり、そこをこんな道路が結んでいる。日本でもコマーシャルで何度も使われたことがある場所らしい。ひとつひとつの島が「○○key」と名づけられており、その総称が「Florida Keys」となる。
 この気持ちの良い道は、最終地点の「キー・ウェスト」島へ着くまで、2時間近くかかる。その間、きょろきょろしながら運転していると、ちょうどよさそうなフラットを発見。早速家族で浜に入ってみる。
 早速、僕もウェーディングしてロッドを振ってみる。

 大海原に向かって思いっきりキャストするのは、なかなか気持ちが良い。

 最初は勝手がわからなかったが、そのうち、20mくらい飛ぶようになってきた。ロッドとラインの相性が良いのだろう。フォルス・キャストを2、3回すると、スルスルとラインが伸びていく。
 子供たちはルアーロッドで。
 フライは、こんな大きなストリーマー。
水の中で泳がせると、本当に小魚そっくりで、非常によく出来ている。
 何度か振っているうち、フライを追いかけてくる魚影に気がついた。

 なかなかヒットしないので、リトリーブの仕方に変化を与えた。着水直後に魚がフライを見つけ、追尾し始めるという想定で、途中で追っ手から小魚が必死で逃げる、という風に演出をしたところ、これが当たって、最初のお魚をゲット。

 ダツですね。ターポン、ボーンフィッシュ、パーミットが本命らしいが、それは将来の夢。まずは一匹釣れて、本当に嬉しかった。
 水に帰っていくダツ。この一匹で俄然やる気になる。
 翌朝は大晦日。朝早く起きて、ひとりで釣り場を探しに行く。

 しかし、浜辺の多くはマングローブ林でアクセス不能。よい感じのフラットがあっても、ほとんどは私有地で、立ち入ることができない。

 結局、2時間近くドライブしただけでホテルに戻る。
 仕方がないので、家族と共に昨日と同じ場所へ戻ってきた。

 他にも釣り人がいる。道路からすぐアクセスできるフラットは意外に珍しいのだ。

 この日は、子供たちは水着でシュノーケリングを楽しむ。私は、腰くらいまでウェーディングして、ロングキャスト。
 だんだん飛距離が伸びてきて、うまく投げられた時は、23−4m飛ぶようになってきた。

 手のひらにマメができかけてきたので、手袋と絆創膏で補強。

 何度もダツがフライを追ってきたし、一度は、目の前3mでフライに食いつくのが見えたが、慌てているうちにフッキングせず、結局、この日はボーズに終わる。
 大晦日の夕刻、キー・ウェストの街中へ繰り出す。

 このバーは、ヘミングウェイ行きつけのお店だったらしい。
 街中は、南国リゾートそのもの。
 世界一の夕陽と言われる、キー・ウェストの大晦日の夕陽。
 みんな、波止場に鈴なりになって眺めている。
 日の暮れたキー・ウェストの繁華街。私は酔っ払ってすぐ寝てしまったが、新年になる時は、町中大騒ぎだったらしい。
 1月1日の朝、キー・ウェストを出て一路バージニアへ向かう。2,400kmの道のりは長く、一日では着かないから、12時間走って一泊。1月2日の夜に家に戻った。片道2,400kmというと、ちょうど札幌ー鹿児島間である。いや、アメリカは大きい。そしてよく走った。

 キー・ウェストでは、最高28度もあったが、バージニアの夜は、零下であった。
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09年末の冬休みは、自宅のあるバージニア州から2400km南下したフロリダ州で避寒することに。釣具は持たずに出発したが・・・。