フィールドにて 2


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■ ヘビ使い at 島根(05年5月8日)

 昨年に引き続き、長男・次男を連れて島根へ。

 親戚の中学生と子供二人に今年はフライを教えてやると約束して出かけたのだが、特に子供二人は釣りをちょっとやったら、ヘビだのイモリだのを見つけ、そっちの方が面白くなってしまった。

 長男は爬虫類が大好きなので、「ヘビだ〜!!!」といっておっかけ回し、このように頭を押さえて捕まえてしまう。

 そのときのやりとり。

(私)わわわ。これマムシじゃないの?!
(息子)違うよ。シマヘビだよ。
(私)かまれなかった?
(息子)ちょっとかまれた。でも30分くらいしてなんともなければ大丈夫なんだよ。
(私)そうか。

 「そうか」と言って済ます私が問題なのかもしれないが、こんな感じでまるでヘビ使いである。キャンプ場のほかの客が飛びすさって逃げる。

 子供たちはヘビで遊びまくっており、私が「ヘビが死ぬとたたるよ」と言うと、「じゃあ逃がそっか」と言うが、最後の実験だといって、川の中に入れて泳がせている。

 かわいそうに冷たい水に入れられたヘビは、一生懸命泳いで(ちなみに泳ぐのはすごく速い!)、向こう岸にたどりつき、斜面を登っていく。へとへとの様子だ。

 次に彼らが見つけたのは、カナヘビである。なんでも、これはトカゲとは異なる生き物なんだそうだ。

 「これは僕の友達なんだ」などと言って、結局持ってかえってしまった。「かなちゃん」とか呼んでいる。

 しまいに子供たちは、「俺たちも泳ごう」といって水温13度の川に飛び込んでしまった。。。
■ ほんのちょっとのおもいやり(05年5月2日)

 釣った魚の扱いについては、キープが当然という大多数の方々と、基本的にはC&RするFFをたしなむ人々の間で考え方の違いがあるわけだが(前者は昔ながらのことで、「考え方」以前の話なのかもしれない)、いくらルールになっていなくても、大人として尊重すべきマナーは存在する。

 自分だけでなく多数の人が渓流釣りを楽しみにしていること、魚は無限でなく、自然も壊れやすいこと。すべての釣り人は、この2点を熟知しているはずだからだ。
 
 釣行記で書いたが、長野県の石堂川で見かけた二人の釣り人のふるまい(15cm以下も含めての、文字どおりの根こそぎ)を見て悲しい気持ちになった。

 魚釣りの楽しみは人それぞれで、家族にたくさんの魚を持ち帰る、そういう釣りもあっていいが、ルールを守らず、他人の存在に思いをいたさない形で釣りを楽しんだとして、帰路、本当に楽しい気分になれるだろうか、と自問自答した。

 結果はやはり、漠とした自己嫌悪感や罪悪感を抱きながら車を運転している自分しか想像できなかった。河原にゴミを捨てることも同じである。

 私だって昔は釣れるままにキープして後悔したり、故意ではないにせよゴミを捨ててしまったこともあるので、なんら無実ではない。

 ただ、すべての釣り人が必ず思っているであろう、「きれいな川できれいな魚をたくさん(又はほとほどに)釣りたい」という願いを考えたら、やはり、同じ願いを持っている他人の存在に瞬時なりとも思いをいたす、そういうおもいやりというか想像力というか、私自身を含め、これが一番大切なことだと思った。

■ 大門川での事故 (05年4月13日)

 川ゴケはみなさんもきっと数知れず、また、ヒヤッとしたこともたくさんあると思うが、深刻なケガの経験はあるだろうか?

 一昨年の9月、大門川に入った時のこと。大滝付近の大堰堤上流に入ろうと、道路わきに車を止めて、山道を歩いていた。多雨のため、堰堤上は湖のように湛水されており、川にたどり着くには相当歩く必要があった。

 途中で小沢を横切るとき、上部が斜めになっている石に乗ったところ、見事に滑って転倒。受身を取ろうとして、左手の指を岩に強打し、右肩を強く捻ってしまう。

 あまりの激痛に、しばらくどこが痛いのかもわからないくらいだった。

 数分間、小沢の中で呻き、ようやく患部が特定できた。

 ロッドくらい振れるだろうと希望的観測を試みたが、すぐに無謀とわかる。

 地上に戻ろうとしたが、あまりの痛みに数歩ともたない。右腕は力入らずぶらぶら。

 30分以上かかって車に着くが、とてもじゃないが運転できない。

 本当に申し訳ないと思いつつ、救急車を生まれて初めて呼んだ。それから20分ほどで来ていただいた。

 私の顔が蒼白で、心拍数も異常に上がっていたからか、隊員の方たちは、落ち着かせようと工夫してくださった。

 たかが釣りのためにこんな迷惑をかけるなんて、と心の中で手を合わせた。

 診断の結果、指は骨折、肩は重い捻挫ということで、入院はせずにすんだが、しばらくは生活に不自由した。

 それにしても、バカのせいで隊員や病院の方々には迷惑をかけたと反省した。

 最近、不適切な救急車呼び出しが多いということで、有料化すべきじゃないかとの議論がニュースで出るが、小さくなって聞いている・・・。

 月並みな結論ですが、みなさん、とにかく気をつけてください。河原はあぶない。100里の道は99里をもって半ばとす、です。
 
■ ロッド買ってしまいました。。。(05年4月10日)

 よほどのヤブ沢を除き、これまでTenryuの8ft・#4を愛用してきたのだが、酷使するにつれ、もしこれが折れたりしたら困ると思うに至り、次の一本をどうするか悩んだ。

 この機会にSAGEだのScottだのかっちょいいブランドものを買うことも考えたが、渋谷のサンスイで値段を見るとシュルシュル〜って萎えてしまう(トホホ)。

 今年の課題として、SAGEの#0を買って低番手釣りデビューを果たしたいと思っているので、まずは廉価に、ということで、最初の竿を買った渋谷のセコハン店へ。すると、ユーフレックスの8ft・#4があるではないか。定価52000円が新古品で22000円だという。店内でよく観察したが傷は皆無。ヒョイヒョイ振ってみると、さすが国産品。いかにも無難だとの印象。面白みはないが、購入してしまった。保証書はないが、ケースは付いているので、満足。

 事後にネットで調べたところ、「正に優等生ロッド」との評価。これでいいんです。よかった、よかった。
  
■ 高知での出来事(その2) (05年4月5日)

 次の日は、室戸市にある高校に行く。室戸って、台風が近づいている時の天気予報でよく名前を聞くし、最近よく売ってる海洋深層水も室戸の名が付いていた気がするが、行くのはもちろん初めてである。

 高知から「ごめん・なはり線」というローカル線に乗る。後免と奈半利を結んでいるので、その名はただのしゃれではない。いや、実はもともと地名からしてギャグだったのか?

 ごめん・なはり線の紹介HPを見ると、昭和40年に着工して以来、中断したりして、42.7kmの路線完成に37年間を要したそうだ(平成14年完成)。それまで高知県の東の半分は鉄道なしの状態が続いたわけで、苦労多かったんだろうなあ、と慨嘆。

 そんな経緯があり、また、もともと経営環境が盤石なわけでもないから、周囲の人たちで一生懸命守ろう育てようとしていて、「ごめん・なはり線友の会」なんて作って頑張っている。

 「アンパンマン」のやなせたかしさんが駅ごとにキャラクターを作っていて、それが電車にも書いてあったりしてほほえましい。高校の先生との待ち合わせも、終点奈半利駅の「なはりこちゃん」の像の前である。終点から終点まで、太平洋を見ながら約1時間半の旅。写真は後免駅のごめんえきおくん。

 室戸に駅はないので、奈半利から学校までちょっと移動するんだろうとは思っていたが、室戸までまだ20km以上あった。室戸の人たちの生活は大変だ。教頭先生が自家用車で迎えにきて下さって、乗せていただいた。室戸は初めてでしょう?と言って、室戸岬にも寄って頂いた。あ! 海洋深層水の工場み〜っけ。ホントにここにあるんですねー。

 また、港の一角でイルカを飼っていて、「イルカセラピー」の実験をしている。イルカと一緒にいるといかにも和めそうだが、なんとイルカって、心や体に障害を持った人が水に入るとそのことを自然に察知して、優しく静かに振る舞うんだそう。すごいと思いません?

 その港では、麻布大学の人たちがウェットスーツでイルカ2頭(ハイジとリル)と何かを練習しているみたい。頭を前後に揺らしながら、きゅーんとかけーんとか鳴いていてすごくかわいい。

 ちなみにこのイルカ、去年の11月にここから逃げ出して、和歌山県串本の港で芸をしているのを発見され(笑)、トラックに積まれて高知に戻ったそうだ。

 高校に着くと、まずいつものとおり校長室でお話した。生徒達は講演後も懇談したがっていると伺ったが、高知・岡山経由で帰るには2時くらいには出発しないと電車がなくなる。先生達は私が空路で帰るという前提で話していたので、みなびっくりして、
「いくら安くても、そんな人、室戸にもいません」バッサリ。やっぱ私の会社、変なんですね。。。

 なお、高知県は東西に非常に長く、移動も楽ではないので、高校の段階から県内外の「留学」が普通に見られるそうだ。例えば室戸にいても、高知市に下宿して市内の高校に通うといった具合である。ちなみに室戸では、例の海洋深層水の工場が非常に重要な就職先になっているんだそうだ。みなさん、海洋深層水はこの子たちが作ってるんですよ。

 講演が終わって東京に帰ると、生徒達からメールが届いていてかわいらしいのだが、「今日アツいです。ヒマだったらメール下さい。」というメールは、最初
エロ系スパムと間違えて危うく削除しそうになった。こういうの、どうお返ししたらいいんでしょう(笑)?
■ 高知での出来事 (05年3月31日)
 昨年夏に高知県に講演に行った。2ヶ所の高校で生徒に話をしに行ったのだ。

 職場のルールで、直線距離だと近いということで飛行機が使えないので(!)、岡山まで新幹線、次いでディーゼルの特急列車で四国を縦断する。朝6時台に東京を出ても、高知に着いたのはお昼前。

 列車は野球で有名な池田高校の池田を通り、吉野川沿いに走り、その支流を鉄橋で何度も渡る。もうよだれが出そうな渓相がそこかしこに。実は、この日は火曜日で、前日休んでしまえば週末から十分釣りができたのに、仕事の都合でかなわなかったのだ。事前にいろいろ調べていたのだが、物部川や吉野川の支流など、関東甲信越の人間にとっては未知のフィールドが広がっているようだ。やっぱり無理してでも釣ってくればよかった。

 高知駅に着くと、日差しは南国そのもの。名物の路面電車も走っている。お〜遠くまで来たぜ。

 行き先は市内のある高校。昼ごはんを食べる時間はあったので、せっかくだからまずはカツオのたたきでも、ということで名所はりまや橋の近くへ。坂本龍馬とか、スケールの大きな話とリンクして言及されるので想像ばかり膨らんでいたが、こりゃ、世界三大がっかりにちょびっとだけ匹敵か?(高知の方、ごめんなさい。高知愛してます。)
 
 フォローのつもりではないが、カツオのたたきは量もたっぷり、味噌汁も好物の青海苔入りでおいしく、大満足だった。内側が朱塗りの巨大どんぶりに中盛りのご飯、そしてカツオなのだが、にんにくスライスが相当入っている。これがうまいのだ。しかし、これから女子高生と話すのに、「東京もんってクサイね」と言われては生粋の江戸っ子の名がすたる。にんにくはOLっぽく脇によけてしまった。

 いざ高校へ。「あの〜 講演に来たんですけど〜」というと校長室に案内された。子供の頃は思いもつかないことだが、こうして職業人になってから行くと、オフィスとしての校長室の特性に関心が向く。定番の地味系ソファー(たいてい茶系の人工皮革張りか濃緑の布張りだ)、会議用テーブル、そして事務机だが、ちゃんと未決と既決のボックスがある。なんだ。普通の役所と同じじゃないか。一貫して成績の悪かった私は、同人種であることに少々安堵。

 ソファーで雑談していると、広末涼子の話になった。私が、東京で彼女が地元高知の学校に行くとの設定のCFが放映されていると話したからだ。すると目を輝かせて身を乗り出す先生たち。
「先生(私のこと)!、広末も有名ですけど、うちの学校も有名なんですよ」
「誰か卒業してるんですか?」
「そうなんです。もっとすごいですよ〜」
と言って見せられたのは、なぜか
岡本真夜
他の先生は、「あたしは広末のいとこを教えたことがある」、「彼女も美人だったね〜」と、大盛り上がり。
岡本さんは、系統的に石川亜沙美というよりはユーミンか竹内まりや系だと思っていたが(わかります?)、なんでもミスコンでチャンピオンだったそうな。知ってました?(ちなみに彼女の歌は好きです。)  ともかくも、予定していた講演の事前準備は断念して本番へ。

 講演は大過なく終わった。渋谷とかにいる顔黒の恐ろしい連中とは異なり、全然あかぬけていないが、純朴でかわいらしい。暑いが居眠りするヤツも少ない。講演の後も話が聞きたいといって大勢やってきた。

 彼らと熱く語り合った後は、「せっかく来たんだから」といって校長先生自ら運転して、
広末の小学校を見に行って記念写真。彼女の実家の雑貨屋さん?まで教えていただいた。小学校の正面には、ジブリのアニメ「海がきこえる」で舞台になった高校が。

 夜は先生たちの飲み会に参加させていただいた。みなさん、感じのいい素敵な人たちだった。ちなみに、飲み会の肴は東京の居酒屋でも高知料理としてよく登場する皿鉢(さわち)料理。山盛りのたたき(レタスがたくさん入って、ポン酢がかかっていて、けっこううまいサラダっぽいもの)をみんなガンガン食べている。みんな飲む飲む(笑)。いいとこだなあ〜(笑)。

 翌日は早朝に起きて四国東の端「室戸」へ。(続く)