南アルプスの源流 8月下旬

 せっかくの夏休みなのに、子供たちはそれぞれ用事があって家族旅行はできない。

 仕方がないので、単独釣行を企図するが、いざ出発の朝になると気力が萎えてしまう。

 そんな繰り返しの末、ようやく重い腰をあげ、高速道路を西に向かうことに。

 お盆過ぎとはいえ、バスターミナルなどは観光客でいっぱい。
 車止めからひたすら歩く。標高2,000m レベルなのに、したたる汗。
    川は眼下はるか、100mも下にある。場所を選ばないと入れない。
 林道は登りが続き、2時間も歩くころには、頭痛がし出した。南アルプスで熱中症!?
 ようやく川にたどり着く。
 寝る支度をしてから、のんびり竿を出す。久しぶりに重いザックを背負って歩いたので、ヘロヘロになっていて、あまり釣り欲はわかなかったが、せっかくなので夕食前にちょっとだけ、というノリである。

 すぐに20cmほどのイワナが釣れる。
 その後も、1ポイントあたり1−3匹というハイペースで釣れる。

 どの魚もお腹がきれいなオレンジ色。ほっぺたが紫色に光り、この流域特有の魚種であることがわかる。
 夕方5時を過ぎ、夕食の前に河原でビールを一杯♪
 これで元気になって、もう一匹釣り上げて、この日はおしまい。
   翌朝は、8時ころから釣り始める。気温は10℃、ラジオからは、下界での猛暑記録の更新が伝えられている。
    川が二股に分かれている。右へ向かうことに。
    きれいな川の源流をひとり遡行する、この贅沢。
    サイズはあまり上がらないのだが、ドライへの反応は非常に活発。大場所では、3匹ー4匹釣れることも。
   このようなポイントでは、必ずといって良いほど好反応が得られた。
    山深いこの川で、生き抜いてきたイワナ。
 前日の山歩きで股関節が痛く、だましだましゆっくり遡行する。
 このような淵では、魚影がよく見えた。静かにアプローチして、3匹釣り上げる。
 サイズは引き続き8寸どまり。でも鰭の大きな元気イワナがたくさん釣れて、大満足。
 標高が上がり、稜線が近づいてきて空が明るくなってきた。

 帰路が不安なので、13:30で納竿とし、川通しでゆっくり戻る。

 結局、28cmが最高だったが、山梨県の調査機関の研究によると、この川のイワナ(白点はあっても、遺伝子検査の結果はすべてヤマトイワナ)は、3年でわずか18cmにしかならず、25cm以上になると、6年から8年ものであり、国内他所では8年もののイワナが捕れることは稀であるので、この川のイワナは特に成長が遅く、かつ、長生きであるとのことであった。希少なイワナを大切にしなければ。
   滞在地に戻ってきた。本州でこれほど人里から離れた場所はそうはない。そんな場所に来られて本当にうれしいことだ。
   翌朝は6時半に出立する。もう少し釣っていきたい気もするが、川は逃げないし、また来ればいいや。
   痛む足を気にしながら、ゆっくりと下界に戻る。

 行きは2時間だったが、帰りは3時間近くかかった。
    家に戻るまで6時間。狭い日本にこんな秘境があるのは、とてもよいことだと思った。
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夏休みの平日を利用して、歩いて歩いて源流までたどり着く。