荻ノ入川 10月末

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【基礎データ】
○所在地:静岡県河津町
○水系:河津水系
○混雑度:●●●○○


 

 毎年、渓流シーズンの締めくくりは10月16日に禁漁入りする静岡県の芝川と決めていたが、05年は仕事が忙しくて行けなかった。

 10月末になって、たまたまフライに興味があるという友人がいたので、この際伊豆まで行ってしまえ、ということで、10月30日、関東甲信越地方で最後まで開いている伊豆の河津水系へ出かけることにした。

 私にとっても、最も遅い時期の天然釣り場行きである。

 朝4時に東京を出て、河津川の谷に着いたのは6時半頃。名所「ループ橋」(写真)をぐるぐる回って、はい到着。

 ちなみにおトク情報。天城方面は東京からだと沼津ICが至近だが、用賀からの距離は103kmで5割引(早朝夜間割引)の対象から外れてしまう。一つ手前の裾野ICで降りればOK。所要時間はあまり変わらない。
 6時40分入渓時の水温は11度。さすが伊豆。まだこの温度。

 フライはアメリカ仕込みのN君が早速入渓。
 この川は、水質も良好で、ところどころヤブがうるさいものの、基本的には釣りやすい渓相。

 本日フライ初挑戦のF君。海釣りはお手の物だが、フライは勝手が違い、難しいとのこと。さあ頑張りましょう。
 堰堤を攻める。1時間ほどの間に私には3回反応があったが、魚が小さかったりしてフッキングには至らず。
 とにかく渓相は大変結構である。反応がもう少し欲しいところ。
 谷間に朝日が差してきた。やっぱり明るい渓流は楽しく、陽気な気分になる。
 このような深瀬でフライを見に来る魚が時々いた。しかしとにかく反応は渋い。
 上の深瀬の次のポイントは、長い瀬であった。その瀬尻を覗き込むと、ああっ! 魚が定位してる!!

 不思議な色の魚。茶色に黒い線が走っている。しかし背中にはアマゴみたいに黒点が多数入っている。オイカワ?
 アダムスパラシュート#14を鼻先に落とすと反応するが、食いつかない。

 悔しいのでフライを変えること5種類。ドライはダメっぽい。オイカワでもこうも楽しめるかと意外だった。

 ニンフに変える。頭上に木がかぶさっているので、ライントラブル回避のため、マーカーは付けない。フライは狙った所に落ちたが、視認できない。一瞬、大きい方の魚が左に動き、また定位していた場所に戻った。半信半疑でアワせると、やった、フッキング!!

 しかし手元に寄せたところで痛恨のバラし。前方の深みへ逃げていった。小さい方は依然として定位している。
 
 しかも5分ほど経ったらさっきかけた魚が戻ってきた。何か変だと思い、ストーキングして横から覗き込んでビックリ。オイカワじゃない。アマゴだ!! 産卵準備してるんだ!!

 オスを釣り上げなくてよかった。キープはもともとする気がないが、ダメージを与えるのはよくないだろう。

 見ていると、小さい方が体を横向きにして激しくくねらせ、底の砂が舞う。何度か繰り返していると、大きい方(ハナが曲がっているのでオスとわかる)の体から白い煙のように精子が出た。ただ、卵が出ている気配はない。

 同じような仕草が何度となく繰りかえされる。なかなか感動的だった。

 写真はメスの方。
 そのうちオスは深みへ戻ってしまった。メスは引き続き定位している。カメラを水中へそっと入れると、こんな感じで泳いでいるのが撮れた。

 なんだか釣れるよりもずっと楽しい体験だった。



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