湯川(奥日光) 6月上旬

【2日目】

 翌朝は、朝食前のひと時にmorioさんから湯川のことをいろいろ教わった。湯の湖畔の汚水処理能力の制約が湯の湖に影響を与えていること、湖底の浚渫によって生じた泥が下流の湯川の生態系に影響を与えたこと、懸念される戦場ヶ原の草原化の状況などを説明していただいた。

 9時前に旅館(奥日光パークロッジ深山)を出発。この旅館は実に居心地がよかった。食事は、奇抜なものではないが、丁寧に作ってあるし、建物は古くても一生懸命清潔に保っている。家族経営らしく、お父さんが居室の布団を整えるのを5歳くらいの男の子が頑張ってお手伝いしていて、思わず「ありがと」という気持ちになった。次は是非家族で来ようと思った。人懐っこい犬がいる。

お世話になりました。

 さて二日目の釣りも下流域から。川面では早速ライズが見られ、一人チャレンジする。しかしフライの選択かそれとも流し方が悪いのか、魚は数度出たものの、2時間近くやったが一匹も上がらなかった。その後、佐藤さんや凸凹コンビを探して木道を歩き、前日にやった第二小屋跡で凸凹コンビを見つけた。見るとDecoさんはしっかり釣り上げている。Bocoさんも二回ヒットさせたそうだ。私はすっかり釣れない気分になっていたので、Decoさんのアドバイスを得てあちこち攻めてみるが、それでもうまくいかない。

 佐藤さんとも出会い、河岸を変えようとお弁当(宿のもの。これもうまかった)を食べて、上流部へ移動。湿原をゆったり流れる中流域までとは異なり、緑のトンネルの中を瀬音を立てて流れている。魚影は濃く、川のあちこちで遊泳しているのが見えるし、人が近づいても結構平気。普通の川とは大違いである。しかし、フライにはスレスレで、川面が波立っていてもフライをちゃんと見切る。いろいろ試したところ、前夜Kajiさん(凄腕でみんなに一目置かれていました。次は是非釣りをみせていただきたいです)に作っていただいたオナシカワゲラ#20が当たって釣れだした。

小田代橋の上流

こんなきれいなブルックが釣れます。

 人は相変わらず多いが、川幅は広くてポイントは無数にあるし、人慣れした魚が多いので、釣るのにはそれほど困らない。午前中はゼロだったが、ここではコンスタントに釣れる。ただ、魚はフライにうるさいが、こちらはメニューに乏しいのが厳しい。沈めてみたり、逆に高く浮かせたりと工夫した。また、スレていたり人が多いせいか喰いが浅く、しっかりフッキングせずにバラすケースが多かった。

 大きな倒木が川を跨いでいる。その上流には枯れ枝で作られた絶好のスポットが何箇所かある。ロングリーダー・ティペットでビュンビュン楽しむのが湯川の釣りらしいが、こういう小場所なら私の出番もあるというもの。ボー&アローで一匹引き出した(この日、湯川でボー&アローやった人、他にいただろうか?(笑))。

こういうポイント、魚がたくさん溜まってました(他に狙うとこいっぱいあるんですけどね(笑)。

 こんな遡行の途中では、川に沿って走る遊歩道をたくさんのハイカーや子供たちが歩いていき、川の中に佇む私たちに、「こんにちは〜っ」、「何が釣れるんですかあ〜っ」、「がんばってくださーい」と声をかけていく。この子たちは、20数年前の自分の姿そのものなのだ。何人かこの川へ戻ってくるのかな。木道を同じ方向に歩いていると会話が耳に入るが、子供らしい他愛のないことをペチャクチャしゃべっていて、なんとも微笑ましい。

子供たちの林間学校

 おじさま・おばさまのグループも、「いい趣味よねえ」、「魚いるのかしら?」、「ほら、あの長靴だと水が入んないのよ」などといろいろ話しながら通過していく。私が彼らの通過中に一匹釣り上げたところ、わーっと拍手と喝采を頂戴した。

 最後は6時過ぎに「児滝」のプールを一人でチャレンジさせていただく。見るとプールの中にイワシの大群のようにマスが群泳しており、ウェーディングすると逃げるには逃げるがまた戻ってくるし、真横2mのところでライズしたりしている。
 これはスレスレで、私が普通にやっては釣れるわけがないと思ったので、滝の落ち込み際と倒木の間の30cm位の隙間にデカいフライ(#12エルクヘアカディス)を入れてみたら、ばっちりヒット。


 すっかり薄暗くなり、湯滝脇の駐車場に戻ると、もう他には車がほとんど止まっていなかった。疲れてはいたが気分は軽く、とても幸せな気分で日光を後にした。

児滝の下を狙います。
(Decoさん撮影)

 帰りは中禅寺湖畔の精肉店「浅井」併設の食堂で名物のカツを食べて、東京へ。長時間運転していただいた佐藤さん、次はフライを是非教えてください。DecoさんBocoさん、すばらしい機会をいただいてありがとうございました。そしてmorioさんを始め湯川の会のみなさん、初めての私を受け入れていただき、感謝しています。

シカ君、また来ます。

お肉屋さん、また来ます。

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