いわて釣り紀行! 2日目 |
さて、1日目の夜は、すっかりご機嫌であっという間に寝入ってしまったのだが、体力のあるエフさんは、その後もNさん他と釣り談義に花を咲かせたらしい。
翌朝は、6時半に朝食、7時に出発した。行き先は、悩んだ末、Bocoさんのお勧めの一言で決めた。前日と同じ川の下流部、夕刻に尺を上げたプールの上流である。
それにしてもクボタロッジは心安らぐ良い宿だった。トイレも洗面所も部屋も、特に変わった所はないがどこも清潔にしていて、丁寧に守り育てていることがそこかしこに感じられた。そういう宿に泊まるのは、金額の多寡にかかわらず、気持ちの良いことである。おまけに、我々の夕食開始が21時で最後まで手間のかかるフルコース、朝食が6時半、しかも昼食のおにぎりつき。ハイシーズンとはいえ、ほとんど寝ていないのではないか。
昨夕来たばかりの堰堤上へ。一晩で水が減って、今日の渡渉はラクショー。渡る場所が見つからないのではないかと本気で心配していたので、心底ほっとした。
この日もよく晴れ、心洗われるような景色の中を遡行することになった。
Decoさんから指摘されていたとおり、朝9時過ぎまではドライへの反応は見られなかったが、その後はぼちぼち反応が見られだした。
最初の反応は瀬尻。いつものとおり、心の準備ができていない状態で魚がギラリと光り、掛けることができなかった。以後、本気モードへ。
ゴミ一つ落ちていない。結構人が入っているはずなのに。この川の先輩達が素敵な環境を残しておいてくれたんだ。
10時を過ぎると、随所で反応が見られるようになった。右の写真はランディングできた最初の一匹。ところが、今日は昨日にも増してすっぽ抜けやバラしが多い。良型を手元まで引き寄せたところで、首を振られて針がパーンと外れるトラブルを3度もやった。川原で一人、首を大きく振って嘆いてしまった。
そういう時は、一休みするに限る。大きな岩に腰をかけ、ベストを脱いで水を飲む。夏至から間もないので、、10時過ぎだというのにもう太陽は天辺に近い。名前も知らぬメイフライがウェーダーにとまった。
涼しそうな木陰。当然イワナにとっても居心地がいいのだろう。この辺りでは反応が活発だった。渕からも瀬からも出る。
でも! すっぽ抜けてしまうのだ。どうしたらいいんだろう。
エフさんに追いついた11時半までにネットに入れられたのは2匹だけ。フライに出た魚の数は優に15を超えている。
気温はどんどん上がり、24度に。時々大岩があって遡行を妨げられ、対岸に渡る。
その後、徒歩で15分ほど、川から離れた森の中を上流へ向かう。さまざまな山菜が目に付いて楽しかった。
見ると、終着点の堰堤が見える。よし、そこまで集中して釣り上がってやろう。
ポイントというポイントに、丁寧にフライを置いていく。今度は早合わせせずに、自分のドリフト能力を信じて一呼吸待ち、そこでメリハリをつけてアワせる。また、フライをあまり高く浮かさないように注意する。
とたんにすっぽ抜けが減ってきた。
夏の山岳渓流そのものの装い。
魚影はすこぶる濃い。
大きく浅めのプールにでくわした。滑床である。
まず流れ出し付近で1匹、もう1匹を(得意の)バラし。
そしていよいよ落ち込み際へ。右の写真のように、対岸に大岩があり、その下がはっきりわかるほどにえぐれて、白泡は岩の下へと流れている。ここにいなくてどこにいる?というほどの好ポイントに緊張する。
パラシュートはうまい具合に大岩の際ギリギリの所を流れていく、すると、案の定岩の下から大きな影がでてきて、ちょっと躊躇した上で静かに喰らい付いた。
我慢! 一呼吸置いて強めにアワせた。しっかり乗った気がする。魚は最初岩の下へ、次に流心の深みに逃げ込もうとした。ゆっくり、しかし緩めずに寄せて、ネットに入れた。
サイズを測ると、29cm。よく肥えた東北イワナ。
泣き尺でも嬉しい! しかもこういう流れのあるポイントだと、スリル満点でなおさら楽しい。
その後も堰堤までの短い区間で、何匹も釣れた。ただ、回数は減ったものの、すっぽ抜けとバラしのクセは完治しなかった。
エフさんが堰堤に挑んでいる。水流で逆風になるが、水しぶきがちょうどいい清涼感を与えてくれる。
波立つ水面を静かに見ていると、散発的にライズが見られる。よし、釣ってやるぞ!
と意気込んだはいいが、大きな堰堤であり、いざキャストを始めると、ポイントを絞り込めない。とりあえずバブルラインに流す。
いきなり魚がフライに出たが、かなりラインを出していたので、上手にアワせられずに終わる。その後も7~8回同様のことが起きた。一度だけフッキングしたが、えらく遠くでかけたので、ラインを張ろうと慌てているうちにバレてしまった。
見ると、堰堤の右奥(左の写真の一番奥)の巻き付近でライズが見える。ここならポイントを絞りやすいだろう。右の岸寄りからウェーディングを試みた。運良く護岸沿いは僕でも立ち込める程度の深さだ。
何度目かのキャストの末、何の予兆もなく魚が出たが、またしてもフッキングせず。悔しくて、ロッドを水面に叩き付けそうになった。
冷静に冷静に。もう一度近くの水面にフライを浮かべて待つ。今度はすぐに出た。一呼吸してアワせたら、今度は乗った!
大きい! 今日のロッドは4番なので、普通はすぐ水面に出てくるが、今度のやつはズンズン引いて出てこない。リーダーが水面を切って水を滴らせながら横へ動く。
エフさんがヒットの瞬間のよい写真を撮ってくれた。
大物慣れしていないので、太い魚体に驚く。なるほどこんなのを釣ったら、更なる大物への夢が膨らんでハマるのはよくわかる気がする。
もうこれで充分だ。帰ろう。
川通しで帰る。時々立ち止まって景色の美しさに見とれる。
きっと、この川にとってのベストシーズンの何日かであったのだろう。
すばらしい釣行だった。アレンジしてくれたエフさん、一緒に楽しい時間を過ごさせてくれたDecoさんBocoさん、Nさん、2年ぶりにロッジでお会いしてウェーダーのお勧めを教えてくださったえ@さん、みなさんありがとう!
ゆっくり慎重に上げて、ネットイン。ずしりと重い。岸に戻ってメジャーをあてると、昨日に引き続き30cmジャスト。昨晩の基準?で、尺、認定!(笑)